「てまひまオンライン」に並ぶ“おいしいもの”の生産者さんを訪ね、自然と向き合う姿勢や、ものづくりの哲学を訊く「食の匠のてまひまストーリー」。第6回目は、滋賀県湖南市で弥平とうがらしの加工を行う「fm craic」代表の釘田和加子さんにお話をお伺いしました。釘田さんの弥平とうがらしへの想いをぜひこちらの動画でご覧になってみてください。
中南米から世界中に広まった唐辛子はそれぞれの土地で食文化を支える、国際的且つローカルな食材です。
学生時代からインドに興味を持ち、JICAインド事務所でNGOデスクコーディネーターとして仕事をされていたという釘田さん。帰国後は地元の滋賀県へ戻り、湖南市で地域おこし協力隊として起業を目指す人たちのサポートをされていたそうです。その傍らでご自身はインドで習得されたヒンディー語の講座を開催。その講座を介してfm craicの創業者の方と出会い、それがきっかけとなり2021年1月にこの事業を引き継いで現在に至ります。
弥平とうがらしは基本的に湖南市の下田地区でしか栽培されていないそうで、100年以上前に下田地区出身の弥平さんが持ち帰ってきたことで生産が始まったという言い伝えがあるそうです。
フレッシュな弥平とうがらしは印象的なオレンジ色でとても可愛いのですが、そのルックスに反して辛さは鷹の爪の2倍もありパンチ力が半端なくあります。ただ、単に辛いというだけでなく乾燥したものは非常に甘くて豊かな香りも持ち合わせています。fm craicでは地元の生産者が栽培した弥平とうがらしを用いた加工商品を複数種類生産されています。
てまひまオンラインで取り扱っている「柚子ぴりり」は弥平とうがらしと柚子を配合したミックススパイスです。ピリッした辛みとふわっとした柚子のいい香りの組み合わせはうどんや蕎麦などの和食だけでなく、チーズやアイスクリームなどとも相性が良いそうです。実際に味わってみると、強い刺激だけでなく、そのあとに訪れる“すーっと”した感覚はさながら癒しのようであり、その二つの相反した要素が共存するおすすめの一品です。
インドに興味を持ち、ヒンディー語講座の縁で「弥平とうがらし」に辿り着いた釘田さん。 この“スパイス”にまつわる旅はまだ始まったばかりなのかもしれません。
動画・写真/松永 望 文/山田 修