てまひまオンラインで取り扱う、日本の食のいいもの。そのストーリーを生産者さんの声を通して紹介する「Pick up!つくりてブログ」。第5回目は直源醤油の直江潤一郎さん。
金沢で醤油屋を営んでいます直源醤油の直江潤一郎と申します。
弊社のある金沢市大野町は金沢港近くの日本海に面した場所にあり、今から約400年前に醤油づくりが始まった場所として知られ、古くは北前船の寄港地として栄えたところです。500世帯の小さい町には醤油屋が十数軒あり、潮風の中に醤油の香りが混ざって、何かしら懐かしいような雰囲気がある場所です。
金沢市大野町で作られる醤油は「大野の醤油」と呼ばれ、地元石川県では九谷焼や輪島塗という伝統工芸品と同様に地域ブランドとしてお馴染みで、食卓に欠かせない調味料として必ずといっても良いほどご家庭の台所に常備されていて、つけ用かけ用はもちろん、煮炊き物などに幅広く使われています。
味の特徴は甘みと旨味が程よくバランスされたタイプで地元では「うま口しょうゆ」という言い方をしますが、関東の醤油ほど塩角が立っておらず、九州の醤油ほど甘くないというのが特徴で、うま味とまろやかさを兼ね備えた味として発展してきました。古くから加賀料理に味付けされた歴史や北前船で豊富に手に入った昆布との相性を重視してきた地理的背景があるようです。
古くは北海道や東北から北前船で運ばれてきた大豆、小麦でお醤油づくりが行われた(イメージ)
お醤油はお料理の味付けにとても大切なものですが、昔から大野の醤油屋は特に各家庭の台所と密接に繋がっていて、勝手口から入ってご注文を聞いて空瓶と交換して行くという商売(サザエさんの三河屋さんのように)が基本で、長い間ご家庭の御用聞きをしてきました。昔から慣れ親しんだ醤油を使うことが当たり前で、それがそのお家の味となっていますので、大野の醤油屋は昔から各ご家庭のお味をしっかり守ってきたのです。
大野の醬油屋は家庭の台所と密接 昭和30年代に使われた広告物
さて話は変わりますが、この歴史ある醤油の町を広く発信しようと、地元の商工会の青年部組織である「大野こまちなみ研究所」(私が所長です)では、毎年春と秋に「大野こまちなみな~と」というイベントを開催しています。
タイトル名のこまちなみの「こ」は古いと小さいの両方の意味があり、みな~とはみなととアートどちらの意味も含まれています。町内の町家や醤油蔵、みなとや灯台等、そこにあるもの舞台にして美味しいものの販売やワークショップ、ツアーなどを実施しているのですが、地元はもとより金沢市内中心部から人気のお店が出店することもあって、嬉しいことにとても多くのお客様が大野町に来てくれるのです。
パンフレット
先月9月4日(日)はコロナ禍で3年ぶりの開催となりましたが、秋晴れの中、予想を超える若い家族連れやカップルなどたくさんのお客様がお越しになり、駐車場があふれかえってご迷惑をお掛けしてしまいましたが(笑)、大野町で楽しい時間を過ごしてくださいました。
弊社は社員が考案した「お醤油屋のみたらし団子」と「醤油パフェ」を販売し、どちらも大好評でした。特に醤油パフェは映えるようにという社長の指示で(笑)、女子メンバーが試行錯誤していましたが、見た目も味もとても良い感じに仕上がり完売御礼となりました。
実はこの醤油パフェには「粉醤油」が使われています。正式には「もろみの雫シーズニングソイソルト」という商品名ですが、国産の大豆、小麦、塩だけで仕込んだ特別な「丸大豆醤油もろみの雫」をフリーズドライ処理した液体ではない粉のお醤油なのです。
普通のお醤油では垂れたり、見た目が映え無くなってしまうのですが、この粉醤油なら醤油パフェの仕上げに振りかけるだけでバッチリでした(笑)。
このお醤油、ステーキや焼き魚、お寿司やパスタにも良いですが、オリーブオイルと合わせてドレッシングにしてカルパッチョなどにとても相性が良いですし、バニラアイスにかけたら、濃厚で深い味わいになります。
シンプルに卓上塩の代わりに使われても、減塩になる(卓上塩の約1/3)ので塩分を気にされている方にも優しいですね、ゆで卵もお勧めです。
米国や欧州に少し輸出していますが、ロール寿司やアボガドサラダに使っているシェフもいらっしゃるようで、アイディア1つでお醤油の使い方がまだまだ広がりそうです。
持ち運びが簡単ですのでキャンプにも最高ですよ!
ちょっと気分を変えたい時、スパイス感覚でお醤油を使ってみませんか~!
商品ページはこちら。