州田園

もったいないから生まれた、大葉の新しいかたち

— 州田園(シマダエン) 彦坂由美さん —

📍愛知県豊橋市

愛知県豊橋市。日本一の大葉の産地として知られるこの土地で、50年以上にわたり大葉を育て続けている農園「州田園(シマダエン)」。

その一員である彦坂由美さんは、結婚をきっかけにこの仕事に関わるようになりました。

「最初から農業をやりたかったわけではないんです」

そう話す彦坂さんですが、日々大葉と向き合ううちに、その魅力に少しずつ惹かれていったといいます。

見た目で捨てられてしまう、大葉の現実

私たちが普段スーパーで目にする大葉は、きれいに揃った形をしています。
しかしその裏側では、同じように育った大葉でも、見た目の違いだけで多くが出荷されず、廃棄されている現実があります。

「ひどい時は、収穫した半分近くが捨てられてしまうこともあります」

まだ“食品ロス”という言葉が広く知られる前から、その状況に疑問を感じていた彦坂さん。

さらに、お客様からのこんな声もありました。

「10枚入りでも、2枚しか使わないから買わない」
「乾燥していたら便利なのに」

こうした声と、自身の想いが重なったことが、新しい挑戦のきっかけになります。

 

“大葉を主役にする”という発想

最初は乾燥させて粉末にすることからスタートしましたが、使い方が伝わらず、なかなか広がりませんでした。

そんな中でヒントになったのが、「香り塩」の存在。

「だったら、大葉を主役にした塩を作ろうと思ったんです」

一般的な香り塩が“塩に風味を加える”ものだとしたら、彦坂さんの作る大葉塩は“大葉そのものが主役”。

ひと振りで料理に香りと奥行きを加える、日常に寄り添う調味料として生まれ変わりました。

素材がすべてを決める

彦坂さんが大切にしているのは、とてもシンプルなこと。

「そのまま食べても美味しいこと」

水や肥料を与えすぎず、植物本来の力を引き出すように育てることで、大葉の香りと味わいを最大限に引き出しています。

「強く生きるんだよ、っていうイメージで育てています」

一見すると手をかけていないようでいて、実はとても繊細なバランスの上に成り立つ栽培方法です。

香りも、栄養も、そのままに

収穫された大葉は、その日のうち、もしくはできるだけ早く乾燥へ。

低温でじっくり時間をかけることで、色や香りだけでなく、大葉に含まれる栄養素も損なわないよう工夫されています。

大葉に豊富に含まれるベータカロテンやロズマリン酸は、乾燥しても減りにくい成分。
少量でも効率よく取り入れられるのも、この加工品の魅力です。

日常に、少しの豊かさを

「主役にはならないけど、それがあることで味が広がる」

そう語る彦坂さんの言葉の通り、大葉塩や大葉胡椒は、料理の“名脇役”。

ほんのひと振りで、いつもの食卓に変化をもたらします。

捨てられてしまうはずだった大葉に、新しい価値を。
そして、大葉をもっと身近な存在に。

州田園のものづくりには、日々の暮らしを少しだけ豊かにするヒントが詰まっています。

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