和食遺産 Vol.4/きりたんぽ鍋(秋田県)

 各地の気候風土とそこで穫れる食材とを礎に育まれてきた日本の郷土料理。連載「未来に伝えたい、ニッポン和食遺産」では、先人たちの知恵と想いが込められた47都道府県の逸品を「ニッポン和食遺産」と名付け、人気の郷土料理店のレシピとともにご紹介します。連載第4回目は秋田県名物「きりたんぽ鍋」です。

お米の収穫を祝うハレの日の料理として秋田で長く食べ続けられてきた、きりたんぽ鍋。その一番の特徴は“香り”にあります。鍋の具は香ばしく焼いたきりたんぽ、せり、ごぼう、舞茸、長ねぎなど香りの高いものばかり。ここに比内地鶏のスープや肉の香りが加わることで「黄金の組み合せ」と呼ばれ、地元秋田でも、この食材の組み合わせが多いそうです。きりたんぽの発祥は鹿角・大舘を中心とする県北ですが、全国的に有名になるにしたがって県南にも普及し、秋田の郷土料理として愛されてきました。今回のレシピでは、きりたんぽだけでなく、ご飯を半潰しにしてから手のひらサイズの団子状に丸めた「だまこもち」も入れた、ご飯モノ2種のボリューム満点の鍋に仕上げました。

せりをはじめとした具材の香りを楽しむためにも、きりたんぽの煮崩れを防ぐためにも、煮込みすぎないのが美味しく頂くポイントです。秋田では明治時代中期頃から現在まで「おもてなし料理」として人が集う際に食されてきたという、きりたんぽ鍋。新年の集いなどの際に、ぜひみなさまでお召し上がりください! 

材料(4人分)

鶏肉(手に入れば比内地鶏を)300g ごぼう200g 舞茸1パック 糸こんにゃく200g 長ねぎ2本 せり1束 きりたんぽ(市販品)4本 だまこもち(市販品)4個 比内地鶏のスープ(市販品)適量

作り方

①鶏肉は好みの大きさに切り、きりたんぽは1/3または1/4の長さに切ります。ごぼうはささがきにしておきます。
②比内地鶏のスープを煮立たせ、❶の鶏肉とごぼうを入れ、あくをとります。
③❷に食べやすい長さに切った糸こんにゃく、食べやすい大きさにさいた舞茸、だまこもちを入れます。
④❸にきりたんぽ、斜め切りにした長ねぎ、4~5㎝の長さに切ったせりをのせ、ひと煮立ちさせたら完成です。

 教えてくれたのは…

あきた美彩館 ダイニング

秋田県のアンテナショップ「あきた美彩館」内にあるレストラン。"秋田杉の間”に"かまくらの間”、"なまはげの間”と名付けられたユニークな3つの飲食スペースとテーブル席があり、きりたんぽ鍋はもちろん、稲庭うどんや、はたはた、いぶりがっこなどの秋田名物が味わえます。

●東京都港区高輪4丁目108 ウィング高輪WEST-1F
  TEL:03-5447-1010  https://www.a-bisaikan.jp/ 

秋田県の食データ 「あきたこまち」などのブランド銘柄で知られる日本有数の米どころで、米の収穫量は全国3位。梅雨の時期が短いことに加え冷涼な気候であることから野菜や花卉の栽培も盛んで、トマト、きゅうり、メロン、すいかなどが作られています。沿岸部では漁業も行われ、わかさぎやほっけ、白魚などの漁獲量が全国上位を占めています。きりたんぽ鍋のほか、稲庭うどんや、はたはた寿司などの郷土料理が有名です。

 

取材・文/伊藤ゆずは 写真提供/「あきた美彩館」