和食遺産 Vol.1/石狩鍋(北海道)

各地の気候風土とそこでとれる食材とを礎に育まれてきた日本の郷土料理。連載「未来に伝えたい、ニッポン和食遺産」では、先人たちの知恵と想いが込められた47都道府県の逸品を「ニッポン和食遺産」と名付け、人気の郷土料理店のレシピとともにご紹介します。記念すべき第1回は、北海道の「石狩鍋」です。

冬の寒さが特に厳しい東北以北では鍋や汁物といった郷土料理が豊富ですが、この石狩鍋は、本来「秋の味覚」を楽しむためのもの。秋になると産卵のために鮭が遡上することで有名な、石狩川がその名の由来です。

石狩川では江戸時代から鮭漁が行われ、漁師達は大漁を祝うために穫れたての鮭を鍋にして食べたといわれています。味の決め手となるささがきごぼうをはじめ、たっぷりの野菜とともに豪快に煮込んだ鮭は、ぜひ辛口の日本酒をお伴にご賞味下さい!

材料(4人分)
鮭 500g(1/4尾)  白菜 4枚 長ねぎ 2本 玉ねぎ 1/2個 ごぼう 1/2本 えのきだけ 1/2袋 糸こんにゃく 140g 春菊 1/4束 昆布だし 900cc バター 80g おろしにんにく 小さじ1/2
【A:合わせ味噌】白味噌 50g 赤味噌 150g 酒 45cc みりん 45cc 砂糖 15g 醤油 少々
作り方

白菜の芯は10cmの長さ、葉は2cm幅に切る。ごぼうはささがきにする。長ねぎは5cmの長さの斜め切りにし、玉ねぎは半月切りにする。えのきだけは石突きをとってほぐしておく。糸こんにゃくと春菊はひと口大に切る。
②❶の材料を、硬いものから順に鍋に入れていく。白菜の代わりにキャベツを入れたり、じゃがいも、冷凍のカットコーン(いずれも分量外)等を加えてもよい。
鮭はピンセット等で骨を抜き、ひと口大の斜め切りにして、の野菜の上に盛りつける。
合わせ味噌の材料【A】をすべてボウルに入れ、だし汁で溶きのばして味噌地を作る。
鍋にを注ぎ入れて火にかける。沸騰させないように火加減を調整し、あくをとる。
⑥❺の鮭に火が通り、箸を差して割れる程度になったら、完成。お好みでバターやにんにくを加えて召し上がれ。

  教えてくれたのは…

北海道料理ユック 北の海道 新宿エルタワー店
毎日北海道から空輸される、新鮮な魚介や野菜を使った料理が自慢。 旨味の強い道産の赤味噌で仕上げた石狩鍋はもちろん、ジンギスカンやザンギ(唐揚げ)など幅広い郷土料理が楽しめます。テイクアウト可能なメニューもあります。
  ●東京都新宿区西新宿1-6-1 新宿エルタワーB2  TEL:03-3340-3321
 www.yukku.net 

 

北海道の食データ日本の農地面積の約25%を占め、冷涼な気候に恵まれた北海道は、小麦、大豆、小豆、いんげん豆、じゃがいも、玉ねぎ、アスパラガス、生乳の生産量が日本一。豊富な食材を基に各地域で発展した料理に加え、アイヌの人々から伝えられた固有の食文化も残っています。ジンギスカンに三平汁、いももち等々、バラエティ豊かな郷土料理が揃うのが特徴です。

 

取材・文/伊藤ゆずは 写真提供/「北海道料理 ユック」