てまひまオンラインで取り扱う、日本の食のいいもの。そのストーリーを生産者さんの声を通して紹介する「Pick up!つくりてブログ」。第10回目は飛騨高山よしま農園の園主 与嶋靖智さん。
よしま農園は、その名の通り、飛騨高山(岐阜県)にある小さな農家です。皆様が健康であることを第一に願い、肥料農薬堆肥を使わない栽培の野菜を年間30種類くらい栽培している農家です。そしてその収穫物は、そのまま生鮮野菜として通販を中心に全国のご家庭に野菜セットとしてお届けさせて頂いているのですが、その野菜を生産することとあわせて、その野菜を原料にした加工品を色々製造しています。もちろんその製造にあたっても化学的な添加物を使わない製法を大切にしています。
元々加工では、発酵食品が得意で、漬物、味噌、糀製品などが中心です。心がけていることは、野菜が加工することによって、より良くなること。美味しくなることを大切にしています。農家と言えば、野菜の専門家でもありますが、野菜の魅力を一番知っているわけで、その野菜をどのように食べたら良いか、加工したらよいかを常に考えているのです。
単純に生のままの野菜でお求め頂くことも良いのですが、ちょっと生では食べにくいとか、食べ方が分かりにくい、そして農家だからこそ知っている本当に美味しい食べ方などがありますが、ちょうど加工品にすることで、そんなイメージをダイレクトにお客様にも体験していただけるのが加工品の醍醐味だと思います。そういったことから、加工品で野菜が活きることが目的で、なおかつ保存性も高まるのであれば、野菜たちも喜ぶだろうなぁなんて想像しながら加工品作りに取り組んでいるのです。農家だからこそ得られる視点でしょうか。
さて、色々な加工品のなかで今回紹介させて頂くのは、「青紫蘇ペースト」です。パソナ農縁隊のお力添えを頂いて、フランスでもテスト販売頂き、好評いただいています。世界的にバジルペーストというのはなじみがあるものでしょうが、紫蘇をペーストにしたもの???。紫蘇のジェノベーゼです。あるイタリアンのシェフが、紫蘇ベーゼだと言っていたことがあります。バジルは世界的にどの国に行ってもなじみのあるハーブです。紫蘇といえば、とても珍しく和のハーブの代表選手ではないでしょうか。
青紫蘇ペーストのできるまで
単純に紫蘇を摘んで、材料を混ぜるだけ?と思われがちですが、それでは本当に良いものはできないのです。第一にハーブは香りが命ですよね。農家が知っている紫蘇の魅力って、おそらく本当に知っている人は少ないように思います。
朝収穫をして、そのまま即加工
まず大切にしているのが収穫時間です。収穫といえば、早朝?昼間?それとも夕暮れ時?紫蘇の旬は夏ですが、実は1日のなかにも旬があるのです。その時間は朝早すぎてもいけなく、昼間でもいけない。早朝は植物が眠りから覚めてなんだかぼやけている時間です。逆に真昼間といえば、夏の暑さに耐え忍んでいる時間だから、本当の生き生きとした時間とは言えないのです。大切なのは収穫のタイミング。朝から少し日が昇り始めたころ、太陽で言えば斜め50度くらいの角度でしょうか。完全に日が昇り始めてから、日差しが強くなる直前の時間です。私はこの時間をマジックアワーと言っています。どの時間帯に収穫しても確かに見た目は同じ製品になるのですが、収穫時間帯によって香りが全然違うんです。マジックアワーのほんの10分くらいの時間に収穫した青紫蘇はとても香りが強く、魅 力的で生き生きしています。それを農園併設の加工場ですぐさま加工し始めます。味はまさしくシンプル。青紫蘇、塩、オリーブオイル、ニンニク。それだけ。
いろいろ混ぜ物をするほど本来の青紫蘇らしさが失われてしまいます。混ぜ物をするほど製品としては安く仕上がりますが、味はぼやけてしまう。農家が味わっている青紫蘇は、ガツンとくる香りです。青紫蘇の濃さが断然濃いのです。ぜひ皆さまにこの感動を、そしてマジックアワーの魅力を製品を通じて感じて頂ければ、とても嬉しいです。
どのように使うの?と聞かれます。使い方は、薬味感覚。例えばワサビを使うような場面をイメージしてみてください。刺身、寿司、ソーメンや蕎麦の汁に、さらにはお茶漬けなどに。そのワサビを一転してこの青紫蘇ペーストにしてみてはいかがでしょうか。使う量も、ワサビ程度の量で充分です。これまでの味わいとは違った、新しい感覚の薬味としてあらゆる料理の引き立て役に活躍しはじめます。
そして、口にしてから目を閉じて感じてみてください。青紫蘇畑が広がる光景を。清流流れる空気感、日本の風景。そして作り手の笑顔も(自己アピールですが)・・・・
夢見ます。和のハーブの青紫蘇が世界に駆け巡る日を。紫蘇ベーゼ(青紫蘇ペースト)が世界共通語になる日がくるユニークさと楽しさを。
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